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オプションの取引確認書には「自らの判断と責任においてオプション取引を行う」旨の記述が記載されているが、オプションのリスクや価格変動要因、権利行使期限に関する記述など、取引においてきわめて重要であると思われる商品特性に関する記述は、金融商品取引法が施行されるまでまったくと言ってよいほどなかった。
また、実際に被害に遭った人から聞く限りでは、このような重要事項に関して口頭での説明も一切なかったとのことであった。
それでは、なぜ被害者たちは取引確認書に捺印したのであろうか。
実はこれに対する被害者たちの回答もほぼ一致している。
それは金融機関から「取引に必要だから捺印してほしい」と言われたからいうものだ。
そして、裁判になると金融機関は「取引確認書に捺印しているではないか」と主張して、自らの金融商品販売行為の正当性を主張するという具合である。
ここまでで取り上げた被害例は、1990年代後半以降21世紀の今日まで頻繁に見られるケースである。
オプション以外でも問題のあるケースがいろいろと報告されている。
たとえば、資産運用の相談で銀行に行ったある男性のケースは次のようなものだ。
2006年春の話である。
この人は40代のサラリーマンで10代の子どもが2人いる。
資産としては銀行預金が300万円程度ある。
銀行の普通預金に預けてあったこの資産を、多少なりとも有利な利回りで運用したいと考えていた彼は、比較的リスクの低い公社債投資信託(国債や社債で資金を運用する元本安全性の高い投資信託)の購入を検討していた。
しかし、銀行に相談に行くと、勧められたのは株式投資信託(運用の対象が株式と公社債)だった。
銀行の説明によれば、利回りがより有利になることを強調して、公社債投資信託よりも株式投資信託がお買い得だという。
彼は自己の金融資産(主に預貯金)が300万円程度しかないこと、したがって、なるべく安全な運用を考えていたこと、加えて株式投資信託は株式を中心として運用するもので価格の変動が激しいから、と銀行の提案を拒否、当初から考えていた通り、公社債投資信託を購入した。
この選択は正しい。
預貯金が300万円程度で、かつ、今後子どもの教育費がかさむことが容易に予想される彼にとって、株式投資信託のような価格変動の激しい金融商品は避けるべきものである。
にもかかわらず、金融機関が利回りの高さを強調することによって、株式投資信託を購入した人も少なからずいる。
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